牛丼チェーン店の「すき家」で、また強盗事件が起きた。26日午前3時50分ごろ、東京・国分寺市の「すき家国分寺本多店」で、包丁を持った男が男性アルバイト店員(20)を脅迫し、現金5万5000円を奪って逃げた。警察は、この時間帯に「すき家」の防犯態勢の抜き打ち調査を実施。国分寺本多店も対象となっていたが、同じ時間帯にひったくり事件が起きたため、警視庁小金井署は巡回指導を中止。その隙に強盗に襲われた。 警察庁の全国一斉抜き打ち調査をあざ笑うかのような犯行だった。狙われたのは、JR国分寺駅北口から徒歩6分、商店街沿い約560メートル先にある「すき家国分寺本多店」。午前3時50分、男は1人で店内に入り、ビニール袋から刃渡り20センチほどの包丁を取り出して男性店員に「金を出せ」と脅迫した。
男は右手で包丁をちらつかせながら入り口正面にあるレジに左手を突っ込み、現金約5万5000円をわしづかみにすると逃走した。犯行時間は1分足らず。男は25歳前後で身長約175センチ、黒い帽子をかぶり白いタオルで顔を隠していた。客はおらず、1人で店番していた店員にけがはなかった。小金井署が強盗事件として調べている。
警察庁の調査によれば、今年1〜9月の全国の牛丼チェーンへの強盗、強盗未遂事件の9割が「すき家」で起きている。警察庁では防犯カメラ、防犯ベルの設置のほか「深夜の時間帯は従業員を2人以上配置するように」と指導。すき家を展開するゼンショーホールディングスは、深夜の1人勤務の順次解消を決めていた。その改善状況を調べるために、警察は25日午後10時から26日午前6時までの時間帯に抜き打ち調査を始めた。
国分寺本多店も、この日の調査対象だった。小金井署によると「JR武蔵小金井駅付近の2店舗を見回った後、国分寺本多店も巡回する予定だったが、午前2時頃に管内でひったくり事件が発生し、そちらに人を配備したため中止になった」という。隙を突かれたのは、その約2時間後だった。同署によれば「武蔵小金井駅付近の2店舗も、従業員は1人しかいなかった」という。
ゼンショーホールディングスは「警察庁との連携により、防犯対策をより一層強化し、犯罪の起きにくい店舗設備の充実と被害の撲滅に努めていく」とのコメントを発表した。
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